• 2023.12.08
  • お知らせ

 令和5年11月18日(土)に、猪苗代町体験交流館「学びいな」で、猪苗代湖・裏磐梯湖沼水環境保全フォーラムを開催しました。

 メインプログラムとして、フォトコンテストの表彰式や基調講演、猪苗代湖及び裏磐梯湖沼流域の水環境保全活動の事例発表(口頭)を行いました。最後にサプライズとして、湖美来(みずみらい)応援人である箭内道彦様よりビデオメッセージをいただきました!

 このメインプログラムの様子は、YouTubeで配信しました。下記によりご覧いただけますので、ぜひ、ご覧ください。

画像をクリックしてください。

 また、サブプログラムとして、26団体・個人による猪苗代湖及び裏磐梯湖沼流域の水環境保全活動の事例発表(ポスター)やクイズラリー、エコたわしづくり、猪苗代湖及び裏磐梯湖沼アートボード等も実施しました。

 県内外から139名の方々にご参加いただき、猪苗代湖や裏磐梯湖沼群流域の水環境保全活動の推進に向け、改めて意識の高揚を図る良い機会となりました。

 協議会長である鈴木 竜次福島県生活環境部長による主催者挨拶があり、来賓の猪苗代湖及び裏磐梯湖沼群の水環境を考える議員連盟会長 長尾 トモ子様よりご挨拶をいただきました。

主催者挨拶
猪苗代湖及び裏磐梯湖沼群の水環境を考える議員連盟 長尾会長

 その後、第21回猪苗代湖・裏磐梯湖沼フォトコンテストの表彰式が行われました。昨年から、より広く理解と関心を深めていただくため、高校生以下の学生を対象とした「湖春(こはる)賞」を新たに設けました。また、これまでの湖美来(みずみらい)クラブ会員を対象とした「湖美来クラブ特別賞」を「水恋(すいれん)賞」に名称を変更しました。

※水恋(すいれん)と湖春(こはる)は、松本零士先生にデザインしていただいた当協議会のイメージキャラクターです。

 226点の応募があり、17名の方々が受賞され、その内出席された13名の受賞者の方々に表彰状を贈呈しました。

 入賞作品はこちらです。

 次に、審査委員長である黒岡 隆福島県写真連盟会長より、フォトコンテストの講評をしていただきました。

表彰式
福島県写真連盟会 黒岡会長より講評
受賞者

 基調講演では、日本大学 中野 和典 教授より「ロハス工学の視点で考える猪苗代湖対策~グリーンインフラと生態系の活用~」と題し、猪苗代湖の水質悪化(COD増加)の要因やグリーンインフラの活用、生態系の活用について、分かりやすく講演していただきました。その一部をご紹介します。

 猪苗代湖の水質悪化の要因としては、火山活動が低下し、猪苗代湖の流入河川のpHが低下、湖水の中性化により、水生植物が増殖し、猪苗代湖の内部生産性がCOD値を増加させています。また、透明度が高くなったことにより、太陽光が届き、水生植物が繁茂しやすい環境になりました。現在、日本は食料や飼料、肥料等を大量に輸入しているため、大量の窒素とリンが海外から持ち込まれていることになり、食料自給率の低さが湖沼の富栄養化を促し、水環境の悪化を招いていると言えます。

 猪苗代湖でも面源汚染の影響は大きく、この面源汚染対策には人口湿地法などのパッシブ処理が適しています。パッシブ処理には広い面積を要します。今後、人口減少が進むことや福島県の耕作放棄地面積は全国1位であることなどから、耕作放棄地を表面型人口湿地に活用することについて提案がありました。

 山と海の間で窒素やリンが循環していることや多様な生物種が調和しながら物質循環を支えていること、水生生態系の食物連鎖により窒素やリンを系外へ運ぶことにより、水を浄化することができることなど説明していただきました。現在、日本大学工学部環境生態工学研究室では、休耕田をビオトープ化し、水生生態系の働きで農業排水を浄化して猪苗代湖への汚濁負荷を減らすことに今年度から挑戦しています。また、水草をCO2固定源として見れば、ブルーカーボンになり得ること、生物のゆりかごであることについても説明いただきました。

基調講演 日本大学 教授 中野 和典 氏
基調講演 日本大学 教授 中野 和典 氏

 次に、湖沼の水環境保全活動の事例発表として、石﨑商事(株)及び猪苗代湖の水環境に関するワークショップよりそれぞれ発表していただきました。

◇石﨑商事(株)

 2018年から猪苗代湖クリーンアクションで刈り取ったヨシを原料にした紙(SNDペーパー)を企画・販売しており、「きらめく水のふるさと磐梯」湖美来基金にも寄付していただいております。紙の製造工程についての説明やパルプから繊維製品の製造やプラスチック材料の開発を行う等の新たな取組みについても説明していただきました。

猪苗代湖の水環境に関するワークショップ

 福島県環境創造センターでは、今年度、将来の水環境保全を担う県内の高校生や大学生を対象に、猪苗代湖の水環境について学ぶワークショップを開催しました。参加した17名が5回のワークショップを通じ、さまざまな取組みを行う方々へのインタビューや現地見学を行いながら、高校生・大学生の視点で考えた猪苗代湖の水環境保全の取組みを発表していただきました。

事例発表 石﨑商事(株)
猪苗代湖の水環境に関するワークショップ

 サブプログラムとして、猪苗代湖・裏磐梯湖沼流域で水環境保全活動や調査研究等を行っている26団体によるポスター発表も実施し、意見交換などを行いました。様々な活動や調査研究が行われていることを知っていただく良い機会となりました。

 

ポスター発表
福島県立あさか開成高等学校
NPO法人輝く猪苗代湖をつくる県民会議
猪苗代町立猪苗代中学校
猪苗代町立翁島小学校
福島大学共生システム理工学類 生物圏環境解析研究室

 今回はクイズラリーやエコたわしづくり、猪苗代湖・裏磐梯湖沼アートボードも初めて行いました。クイズラリーで正解した方には、オリジナル風呂敷やポストカードをプレゼントしました。また、エコたわしづくりは、福島県立あさか開成高等学校の皆様にご協力いただき、指で編むエコたわしを教えていただきました。さらに、猪苗代湖・裏磐梯湖沼アートボードでは、「みんなに教えたい猪苗代湖・裏磐梯湖沼の魅力!」や「こんなことに気をつけて、猪苗代湖・裏磐梯湖沼の水環境を守っていきたい!」ということについて、参加者の皆さんにメッセージを書いて貼り付けてもらいました。

エコたわしづくり
クイズラリー
猪苗代湖・裏磐梯湖沼アートボード
猪苗代湖・裏磐梯湖沼アートボード