猪苗代湖は、福島県のほぼ中央に位置し、面積103.3㎞2を有する我が国第4位の湖(酸性湖としては第1位)です。
 猪苗代湖の形成は、洪積世中期の中頃(約20~30万年前)に猪苗代盆地の形成があり、現在の湖の東側と西側の両断層により地面が陥没して猪苗代盆地ができたとされています。その後、更新世後期の約8万年前頃に古磐梯山の噴火により流路がふさがれ、盆地の低い部分に水が溜まって猪苗代湖の原型が出来たと推定されています。
 猪苗代湖は、磐梯朝日国立公園の中核的な位置を占め、自然探勝や保養、キャンプ、釣り等の観光レクレーションの場として、裏磐梯地区を含め多くの観光客が訪れる県内随一の観光地であり、また、このほかに水力発電やかんがい用、水道用の水源としても利用されています。

猪苗代湖が酸性できれいなわけ

 猪苗代湖は、旧硫黄鉱山の廃鉱口からの強酸性の地下水や沼尻温泉と中ノ沢温泉の強酸性の源泉が長瀬川を通じて流入するために、湖岸付近以外では、湖水は酸性を示しており、また、鉄イオンやアルミニウムイオンの濃度が高いことから長瀬川からの流入水が猪苗代湖で中和される過程でこれらのイオンと有機性汚濁成分やりんが吸着、結合して湖底に沈殿するという自然の浄化機構を持っています。

猪苗代湖の最近の心配ごと

 近年、湖水の中性化が進み、自然浄化機能が低下してきているため、湖全体の水環境の悪化が懸念されています。

成因 断層湖
湖沼型 酸栄養
湖沼の標高 514m
面積 103.3km2
湖岸延長 50.4km
湖容積 3,859.0百万m3
最大水深 93.5m
平均水深 51.5m
流域面積 820.2km2
滞留時間 1,350日
環境基準の類型指定 A類型(達成期間イ)
*COD、SS、DO、大腸菌群数を指定。pHは指定なし
Ⅱ類型(達成期間イ)
*全りんを指定。全窒素については当分の間適用しない。
(類型指定については、豆知識を参照ください)

猪苗代湖及び裏磐梯湖沼の水質

 猪苗代湖では近年、湖水の中性化が顕著に進行しており、それに伴いCOD値の上昇や大腸菌群数の増加など、水質の悪化が懸念されています。
 そのため、県では、上流の裏磐梯湖沼を含めた流域全体の水環境保全を行うために、平成14年3月に「福島県猪苗代湖及び裏磐梯湖沼群の水環境の保全に関する条例」を制定し、猪苗代湖や裏磐梯湖沼群の水環境の悪化を未然に防止するための施策を推進しています。
猪苗代湖及び裏磐梯湖沼の水質の経年変化は、以下のとおりです。